ひきこもり支援のネットワーク分析 : (一社) Team Norishiroを実例として|京都大学学術情報リポジトリ|論文紹介

ひきこもり支援のネットワーク分析 : (一社) Team Norishiroを実例として|京都大学学術情報リポジトリ|論文紹介

休眠預金活用事業が取り上げられた論文を紹介する「論文紹介」。今回は「京都大学学術情報リポジトリ」に掲載された論文『ひきこもり支援のネットワーク分 析 : (一社) Team Norishiroを実例として(加藤 猛、野々村 光子、西村 俊昭、山口 美知子、広井 良典)』を紹介します。


ひきこもり支援のネットワーク分析 : (一社) Team Norishiroを実例として

【著者】
加藤 猛、野々村 光子、西村 俊昭、山口 美知子、広井 良典

【要約】(論文より引用)
ひきこもりが大きな社会問題になっている。ひきこもり支援事業を後押しするため、就労率や相談
件数による一面的な評価に代わって、ネットワーク分析を用いて支援の四段階における社会関係づ
くりのプロセスを評価した。
(一社)Team Norishiro の実例と軽度のひきこもりの支援事業を比較した結果、ネットワーク特徴量(頂点数と次数、直径と平均距離、リンク効率と密度)が支援段階における社会関係の時系列変化を良く表現すること、新たに提案したリンク効率と密度から成る複合指標が一般化した評価方法として有用であることが分かった。また、Norishiro の支援事業の特長が、軽度の支援事業と比較して、第一段階(出会い段階)から第四段階(社会参加の試行段階)に至るまでの間の社会的な関係性の多さ、近さ、強固さ、広さにあること、支援関係者が役割を変えつつもひきこもり当事者との関係性を維持し続けること、特に中間的・過渡的段階における“場”の提供にあることが分かった。
今回検討した評価方法は、ひきこもり当事者の様々な段階や分類に応じて適用することが可能であり、支援事業の計画または実施における事業評価、自治体の助成事業や社会的インパクト投資事業に向けたアセスメントや実績報告にも利用することができる。また、ひきこもり支援に限らず、例えば商店街活性化や自然環境保護など、将来的に社会関係づくりに基づく様々なソーシャル・ビジネスにおいて活用されることが期待される。

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