■「中国5県休眠預金等活用コンソーシアム」の休眠預金活用事業
【「中国5県休眠預金等活用コンソーシアム」構成団体】
特定非営利活動法人 ひろしまNPOセンター/公益財団法人 とっとり県民活動活性化センター/公益財団法人 ふるさと島根定住財団/特定非営利活動法人 岡山NPOセンター/特定非営利活動法人 やまぐち県民ネット21
【採択事業】
■2019年度 通常枠 草の根活動支援事業(地域)
【事業名】中国5県休眠預金等活用コンソーシアム休眠預金活用事業
■2020年度 通常枠 草の根活動支援事業(地域)
【事業名】中国5県休眠預金活用事業
■2020年度 緊急支援枠
【事業名】中国5県新型コロナ対応緊急支援助成-活動・団体支援でコロナ禍を乗り越える
■2020年度 緊急支援枠(随時募集第3次)
【事業名】中国5県コロナ対応緊急支援助成(第2期)-困窮者への食と住居・居住所支援事業
〈用語解説〉コンソーシアム 「中国5県休眠預金等活用コンソーシアム」はひろしまNPOセンター幹事団体、とっとり県民活動活性化センター・ふるさと島根定住財団・岡山NPOセンター・やまぐち県民ネット21が構成団体となり、全5団体で事業を実施しています。 |
休眠預金活用事業に申請した背景を自団体の活動と合わせて教えてください。
ひろしまNPOセンターは、広島県で中間支援組織として市民活動団体・NPO法人の支援を行っています。具体的には、各団体からの相談を受けたり、休眠預金活用事業とは別の助成事業を行ったり、勉強会やセミナーなどを開催するといった活動を行っています。
休眠預金活用事業に申請した背景・動機としては、まず休眠預金を活用した資金を、中国地方のNPO法人などの団体に届け、それぞれの地域が抱える社会課題を長期的な視点も持ちつつ解決していきたいという思いがあったことです。
もう一つは、はじまったばかりの事業に参画することへの懸念も、市民活動をしている皆さんと話し合う中では出てきたのですが、もちろん外から声を上げていくことも大事ですが、休眠預金活用事業の資金分配団体として活動するからこそわかること、伝えられることがあると考え、休眠預金等活用制度をよりよい制度にしていきたいという思いもあり申請することを決めました。
助成事業を開始して1年半が経ちました。自団体や支援先に起こった変化があれば教えてください。
支援する団体との距離感が近くなった、関係性が深くなったことが大きな変化だと感じています。
また今までは、何かが起きてからこういった問題があるという相談があり、どちらかというと受け身的な対応が多かったと感じていますが、助成事業を開始してからその場その場で起こった課題に対応するだけではなく、2-3年先を見た中・長期的な視点を持って、団体と一緒に活動できるようになりました。
助成事業を通じて、よかったこと、苦労していることはどんなことがありますか。
〈主にコンソーシアムとして〉
私たちは、ひろしまNPOセンター単独ではなく中国地方の5県の団体でコンソーシアムとして事業を行っています。休眠預金活用事業を通じて、各団体の強みは真似をし、弱点はお互いサポート・フォローしあう取り組みや知見・経験の共有がこれまで以上に進み、より関係が深まったことがよかった点です。
一方で苦労している点は、休眠預金活用事業は始まったばかりですので、まだ事業期間を完走した事例がなく、走りながらルールが作られている部分もあり、どうなるか明確ではない中で模索しながら事業に取り組んでいるところです。特に私たちはこの制度において一番初めにコンソーシアムとして採択された団体であり、同時期にコンソーシアムとして採択された団体がなかったため、他の団体とは違った独自の難しさもあります。JANPIAの担当の方と都度相談しながら事業を進めていますが、難しさを感じています。
〈事業実施において〉
具体的な事業を実施する中で苦労しているのは、社会的インパクト評価です。事業開始当初は特に、言葉として分かっていても、中身や組み立て方を分かっていなかったところもありました。JANPIAの担当の方と共に走りながら修正をし、今でもいろいろと悩みながら実施しています。
〈事務に関して〉
事務負担については、もちろんそれなりの労力はかかりましたが、ひろしまNPOセンターについてはちょうど世代交代の時期で、組織を見直すタイミングと重なっていました。休眠預金活用事業のための事務をやらされているというよりは、「自分たちの団体の基盤をさらに強化し、よりよくするために」という考えが大きかったため、やらされ感はありませんでした。そうは言っても、もし決まったやり方を押し付けられたらそのようには思わなかったかもしれませんが、JANPIAの担当の方と団体の状況も含めて相談し、向き合ってもらえたことも、大きかったと感じています。
〈ひろしまNPOセンターとして〉
ひろしまNPOセンターでは、事業単位ごとに担当者が決まっていて縦割りで、これまでお互いに何をやっているかが見えにくい状況がありました。しかし、休眠預金活用事業を複数採択いただいている関係もあって、それぞれが休眠預金活用事業に取り組んでおり、そこが共通軸になって、今まで以上にお互いの仕事の理解が進んだり、「この団体とこの団体を結び付けたらよいのではないか」という新しいアイディアも生まれ始めるなど良い変化が生まれています。
この事業で学んだ社会的インパクト評価を、この事業以外の活動に活かしている例などありますか。
ひろしまNPOセンターの話ですが、2021年6月の総会に向けて、新しい中・長期計画や新ビジョンを時間をかけてつくりあげており、ようやくかたちになってきました。その成果をどう測るか、評価するかという話になったときに、「社会的インパクト評価」がキーワードとしてよく出てきます。私以外の当センターのスタッフも資金分配団体向けの研修などで学んでいますので、団体として社会的インパクト評価を取り入れていけないかと話をしているところです。
団体で実施しているひとつひとつの事業となると、非常に数が多く多岐にわたるので、それぞれ事前評価からはじめるというのは、マンパワーや時間が足りずになかなかできていません。今は、できるところから取り組み始めています。例えば、アウトカムとしては数字が出ないかもしれませんが、上位の計画に対して社会的インパクト評価のイメージを入れてみようかなど、できるところから活用に向けて動いているところです。
ひろしまNPOセンター 松村さんのインタビューの様子
休眠預金活用事業を経て、3年後・5年後にどのような社会にしていきたいですか。
私たち市民活動の強みは多様性だと考えています。小さなNPOや個人のボランティアも市民活動、一方公益財団法人なども市民セクターの一つです。また短期間で成果が出やすい活動を行うNPOもあれば、すぐには成果に結びつかない活動のNPOもあります。ガバナンスやコンプライアンスをしっかりつくることを選択するNPOもあれば、一方で既かっちりした組織ではないけれどもボランティアさんを中心に緩やかにでも成果を上げていきたい・活動を続けたいNPOもあります。そうした多様性が認められる社会を目指したいと思っています。
現状、休眠預金活用事業の実行団体の公募に申請するのは、ガバナンスやコンプライアンスなどルールの面で敷居が高いということはあり、多様性を広く受け止められる形にはなっていません。今後、申請された団体の活動や事業の内容をしっかり見たうえで、ケースバイケースにはなると思いますが、多様性を認めたり上手に受け止めたりできる社会、あるいは休眠預金活用制度を目指していければと思っています。
申請をご検討中の団体の皆さんに、メッセージをお願いします。
休眠預金活用制度は、始まって1年半くらいの制度ですので、まだまだ発展途上で多くの可能性を持っていると思います。徐々に私たちの中国地方5県のPOだけでなく、他の地域の資金分配団体やJANPIAのPOさんも含め、横のつながりが拡がっていると感じています。そのつながりは、たとえ制度がなくなっても残って続いていくものだと思います。資金分配団体向けの研修などの機会を通じて、今まで接点のなかった分野方と接点ができ、ネットワークが拡がり、さまざまな面で心強い味方が増えるという意味でも、この事業を実施することをお勧めしたいと思います。
また、この制度は成長過程だと感じています。よりよい制度にしていくためには、さまざまな立場の人の意見が必要だと思います。皆さんと一緒に向き合い、取り組んでいければと思います。
〈このインタビューは、YouTubeで視聴可能です! 〉
※動画では時間の関係でカットとなったお話も、記事に含んでいます。
※この動画は公募説明会で上映したものです。
(取材日:2021年5月10日)
▼「2021年度 資金分配団体の公募〈通常枠〉」の情報はこちらから▼
休眠預金等活用法に基づく資金分配団体の公募〈通常枠〉|JANPIA
https://www.janpia.or.jp/koubo/2021/2021年度資金分配団体の公募〈通常枠〉公募要領のページです。
▲申請をご検討中の皆さんは、ぜひ個別相談もご活用ください!
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【本記事に関する問い合わせ先】JANPIA 企画広報部 info@janpia.or.jp