東近江三方よし基金 休眠預金活用事業 基礎情報
【採択事業】
・2020年度 通常枠 草の根活動支援事業(全国)〈コンソーシアム申請〉
<事業名>ローカルな総働で孤立した人と地域をつなぐー日本の変革をローカルアクションの共創から実現する
<コンソーシアム構成団体>(公財)東近江三方よし基金、(公財)南砺幸せ未来基金、(公財)うんなんコミュニティ財団
・2020年度 緊急支援枠
<事業名>東近江・新型コロナ対策助成事業-活動・団体支援でコロナ禍を乗り越える
・2020年度 緊急支援枠(随時募集・第2次)
<事業名>東近江・ポストコロナ対策助成事業-コロナ禍で持続可能なまちづくりを目指して
休眠預金活用事業に申請した背景を、自団体の活動と合わせて教えてください。
私たち東近江三方よし基金は、滋賀県東近江市を対象エリアとして応募しようと考えていました。
小さな市を対象にすることにこだわったのは、私たちのような小さな団体だからこそ、地域課題と向き合う団体の方々と顔が見える関係性を築けているからです。コロナ禍というのもあり、新たに生まれた地域の課題にどんどん気付いて、何とかしなければならないと声を上げてくださる団体がたくさんおられ、私たちは何とかそれを実現してもらいたいと考えていました。しかし、小さな市である私たちだけで休眠預金活用事業に申請をするというのはとても勇気のいることでした。
そんなとき、小さな「市」という単位で財団法人を作っている富山県南砺(なんと)市の(公財)南砺幸せ未来基金、島根県雲南市の(公財)うんなんコミュニティ財団の皆さんとご縁をいただき、東近江の現状をお話ししたところ状況も想いも同じでした。そこで、それぞれの地域で課題に向き合っている活動、特に孤立している方々を何とか救い出せるような活動を応援していこうと、3つの団体によるコンソーシアムで、この休眠預金を使った活動にチャレンジすることになりました。
公募申請の準備ではどのようなことに力をかけましたか。
実は、申請書類を作るのにはとても時間をかけています。もちろん、申請書類に記載されている項目を埋めることに時間がかかるわけではなく、この書類に「どういうことを書くべきなのか」ということをまとめることに注力しました。
事前に地域の皆さんにヒアリングをしながら、実際に地域で今何が起きているのか、例えば「誰がどんなことに困っていて、それらを誰がどんなふうに解決しようとしているのか」というようなことを伺い、申請のためのテーマや具体的な活動を想定するなど、お話を伺った皆さんのさまざまな声を取りまとめるといったことに、とても労力を割いた記憶があります。申請書の内容に、どれだけの具体性を持たせるかが重要になると感じています。
休眠預金活用事業(2020年度通常枠)に参画し、自団体や支援先に起きている変化、変化への期待がありましたら教えてください。
実行団体が決定し、それぞれの市での活動が始まってきました。私たち東近江の実行団体の皆さんと話をしていると、‘これまで自分たちだけが気づいた課題に対して、自分たちだけで活動をしてきた’ことに対して、今回、休眠預金を活用した助成を受けられたことが、まずスタートする段階で活動する皆さんのモチベーションを上げることに貢献しているなと感じています。
モチベーションが高まった状態で、改めて実行団体が向き合おうとしている課題に対するリサーチ、具体的な事業計画やロジックモデルづくりに一緒に取り組み、1年後、2年後の自分たちの活動もより明確になってきたことで、難しい壁を一つずつ乗り越えていこうとしている姿勢が、以前より強く感じられるようになりました。ここは既に起きている変化として注目しています。
JANIPIAの皆さんをはじめ、活動支援をする多くの方々のサポートによって助成事業をはじめられたことが大きなきっかけとなって生まれた変化が、今後も同様に続いていくことを期待しています。
助成事業を通じて、よかったこと、苦労していることはどんなことがありますか。
これまでとても熱心に活動をされていた方々に、「新しいチャレンジをするきっかけを貰った」とおっしゃっていただくことができました。加えてこれまで活動が活発でなかったエリアで、「実はこれまで地域の困りごとを解決するために議論はしていたけれど、なかなかそれを実現するきっかけがなかった」とおっしゃっていた方々が、思い切って公募に手を挙げてくださいました。私たちが資金分配団体に採択されたことで、地域の皆さんがさまざまなことにチャレンジできるようになったことが、何よりよかったことです。
同時に、コンソーシアムを組ませていただいたことで不足がちであった他圏域の事例などもお互いに学ぶことができ、コンソーシアムの定例会議でも、具体的にどんな活動をそれぞれの地域でやっていけばよいのかという話し合いから多くの学びが得られています。
苦労している点はコロナ禍の下での遠距離でのコンソーシアムの運営です。もっとお互いが現地に行き来をしながら実行団体を直接つなぐなど、現地での学びあいを増やしたいのですが、それが出来ていません。でも、状況を見ながら実現をしていきたいと考えています。
休眠預金活動事業は事務手続きが煩雑だという声もあります。現場ではどのようにお感じになりますか。
休眠預金活用事業は新しいしくみということもあり、いろいろと煩雑に感じる事務手続きもありますが、それを何とか改善しようとJANPIAの皆さんが私たちのような資金分配団体の声を聴きながら、現在進行形で改善を進めてくださっています。
事務手続きが地域の課題に向き合う中で乗り越えられないほどの煩雑さかと問われたら、そうではないと私たちは感じています。地域に起こっている課題が深刻で「何とか解決していかないといけない」という想いが強いので、その課題を解決するために助成を受けられるのであれば、多少の煩雑な手続きは乗り越えられないものではないですし、JANPIAのPOの方にも助けてもらいながら行っています。
東近江三方よし基金 山口さんのインタビューの様子
休眠預金活用事業を経て、3年後・5年後にどのような社会にしていきたいですか。
地域の課題に向き合い解決をしていくということが休眠預金活用事業の趣旨ではありますが、同時に活動をしている皆さんやその周囲の方々の「生きがい」にもつながっています。地域の困っている方を助けることはもちろん、自分自身がやりたいことを実現させることなど、「いろいろな思いを諦めなくてよい社会」になっていくことを望んでいます。
また、地域課題に向き合ってくれるPO(プログラム・オフィサー)や団体が全国に増えていってほしいと思っています。全国にある小さな課題にも大きな課題にも、耳を傾ける人が増えていけばいいなと思います。
申請をご検討中の団体の皆さんに、メッセージをお願いします。
私たちは3つの市域でコンソーシアムとして申請をしましたが、日々の活動を通じ、やはり市単位だからこそ見えてきたことや聞こえてきた声というのが本当にたくさんあると実感しています。
現場の声を聞きながら、地域課題を解決したい、何とかしたいと考えられている方々は、この3市域だけではなく全国の市町村、さらにもっと小さな単位の地域にもたくさんいらっしゃると思います。そんな皆さんの活動が実現できるような資金分配団体が全国に増えていくと、仲間が増えたような気がしてありがたいなと思っています。それによって小さな地域であっても諦めずに、誰ひとり取り残さないための課題解決を実現していこうという仲間が増えて欲しいと願っています。
小さな地域、また小さな組織だからと諦めずに、ぜひ手を挙げてチャレンジをしていただきたなと思っています。
〈このインタビューは、YouTubeで視聴可能です! 〉
※動画では時間の関係でカットとなったお話も、記事に含んでいます。
※この動画は公募説明会で上映したものです。
(取材日:2021年5月13日)
▼「2021年度 資金分配団体の公募〈通常枠〉」の情報はこちらから▼
休眠預金等活用法に基づく資金分配団体の公募〈通常枠〉|JANPIA
https://www.janpia.or.jp/koubo/2021/2021年度資金分配団体の公募〈通常枠〉公募要領のページです。
申請をご検討中の皆さんは、ぜひ個別相談もご活用下さい!
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【本記事に関する問い合わせ先】JANPIA 企画広報部 info@janpia.or.jp