日本国際交流センター(JCIE)の休眠預金活用事業 基礎情報
■2019年度 通常枠 新規企画支援事業
<事業名>外国ルーツ青少年未来創造事業-外国にルーツをもつ子ども・若者の社会的包括のための社会基盤づくり
■2020年度 緊急支援枠(随時募集)
<事業名>支援が届かない在留外国人等への人道的支援-孤立に陥らないための支援体制の基礎づくり
*「特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム」とのコンソーシアム申請
休眠預金活用事業に申請した背景を自団体の活動と合わせて教えてください。
日本国際交流センター(JCIE)は、「多文化共生」というテーマについて、20年くらい前から取り組んでいます。現在、300万人近くの外国人の方が日本にいらっしゃいますが、日本の社会を担っていく存在としてなかなか認めてもらえてきませんでした。一方で、日本で生まれ育つ若者が実は増えています。「誰ひとり取り残さない」というSDGsの理念がありますが、この方たちがまさに取り残された人達であると、活動している中で気がつきました。
それを支えるNPO法人も資金が不足しており、なんとか支援できないだろうかと考えていた中、休眠預金活用事業に行き当たりました。この事業は比較的大きなお金で、3年間という長い期間を支援できますので、外国人の子どもたちをささえるNPOにとって一過性のお金ではなく、組織全体をささえ、自立していくための基盤を作るという意味で重要な役割を果たすのではないかと考え、この事業に申し込みをさせていただきました。
助成事業(2019年度採択事業)を開始して1年半が経ちました。自団体や支援先に起こった変化があれば教えてください。
JCIEの中では、新しい事業ということで、新しいスタッフも雇用することができましたし、「多文化共生」という活動の中でも大きな柱に位置付けることができました。それから支援先の実行団体もコロナ禍でとても苦労されているわけですが、その中で外国人の子どもたちへの支援を途切らせないという強い思いをもって、新しいやり方を工夫しながら支援されていらっしゃいます。我々もそれを側面的に支援するのですが、当初の計画を変更する場合でも、一緒に協議しながら柔軟に進められ、そして継続できる。有意義な1年半だったと思っています。
休眠預金を活用したことで、行政や社会・企業とのかかわりで、何か変化はありましたか。
外国ルーツの子どもたちの問題を社会にうったえるというのが、我々の大きな仕事であるわけです。そのために文科省、文化庁、経済団体、一部財団とも連携をとって働きかけをいたしました。徐々に風向きは変わりつつあると思いますが、まだまだその認識は低い現状です。しかし同時に日本は、人口減少、人手不足が深刻化しています。そこで、これまで潜在能力があるのに発掘されてこなかったのが外国ルーツの子どもたちの可能性です。支援が必要なだけではなく、次の日本を担う大きな可能性をもっているのが、この人たちだろうと思うわけです。そのことをご理解していただける方が、徐々に増えていると考えています。
またJANPIAの仲介で、住友商事の社員の皆さんからJCIEが選定した実行団体に対し、本格的なプロボノを中心とした支援をしてもらっています。支援内容は、「団体の組織・事業運営基盤の強化の取り組み」や、団体が運営する日本語・教科学習教室での生徒への「学習支援のサポート」です。この取り組みの中で、例えば参加した社員の方に「誰ひとり取り残さない社会とは、海外の発展途上国の話かと思っていたが、日本でもこんなことが起きているのか」と自分たちにとって身近なところで社会課題を捉えてもらえるようになりました。
休眠預金活用事業を通じて、単に助成をおこなってもらうだけではなく、想定していなかった形で自分たちの考えている課題を様々な方に共有でき、未来に向けて発展できているのもありがたいと感じています。
〈関連記事「企業連携事例を経団連「1%クラブ会員企業」にご紹介!さらなる連携促進を目指して」(2020年6月9日掲載)〉
助成事業を通じて、よかったこと、苦労していることはどんなことがありますか。
よかったこととしては、まず実行団体への支援を通じて外国人の子どもたちに支援ができたということです。外国ルーツの子どもたちが日本に存在するということが、まだまだ知られていないので、社会への啓発という点も同時にやってこれたのもよかったと思っています。まだまだ始まったばかりですが、そのきっかけができたということ、それから一部のメディアも関心をもっていただけるようになってきたというのは、非常にありがたいと感じています。
苦労というと、この分野において支援する先が脆弱なNPOが多く、まただからこそ支援していくことが大切と感じていますが、複雑な制度をご理解いただいて、しっかり対応していただくということにおいて、双方とも大変な思いがあったと思います。
JCIE 毛受さんのインタビューの様子
休眠預金活用事業を経て、3年後・5年後に どのような社会にしていきたいですか。
これから人口減少がさらに本格化していく日本の中で、外国人の方々の活躍をどのように促していくのかは、大きなテーマだと思います。外国人の方々が本当の意味で日本社会で活躍していくには、彼らを一緒に社会を作っていくパートナーとしてしっかり受け止めて、彼らを受け止めることにより日本人側も活性化され、本当の意味でWINWINになっていく社会を目指すべきだと思っています。
そのためには子どもたちの教育が一番重要になってきます。また教育を終えた子どもたちが、社会で雇用され、しっかり活躍できる。外国人の方々は起業意欲を持った方が多いので、そういった方が活躍することで、日本の若者にも大きな刺激になってきます。その好循環をどうやって作っていくか…。3年・5年でできるとは思っておりませんが、そのきっかけをこの休眠預金活用事業で作っていきたいと思っています。
申請をご検討の団体の皆さんに、メッセージをお願いします。
他の財団にはない大きな規模の助成が受けられます。また、人件費を含めて、しっかりした支援をいただけるのは非常にありがたい制度だと思います。いっぽう、社会的インパクト評価、資金計画のいろいろな手続き、これは多くの団体にとっては悩ましいところだとも思います。我々もやりながら苦労をしておりますが、その苦労を乗り越えてでもやる価値のあるものだと思っています。皆さんがやりたいと思っている活動を、日本の社会においてしっかり位置付けていくためには、規模の大きな活動をしていかないと社会は変わっていきません。そういう意味でチャレンジのしがいのある活動であると思っております。
〈このインタビューは、YouTubeで視聴可能です! 〉
※動画では時間の関係でカットとなったお話も、記事に含んでいます。
※この動画は公募説明会で上映したものです。
(取材日:2021年5月7日)
▼「2021年度 資金分配団体の公募〈通常枠〉」の情報はこちらから▼
休眠預金等活用法に基づく資金分配団体の公募〈通常枠〉|JANPIA
https://www.janpia.or.jp/koubo/2021/2021年度資金分配団体の公募〈通常枠〉公募要領のページです。
申請をご検討中の皆さんは、ぜひ個別相談もご活用下さい!
■関連記事
【本記事に関する問い合わせ先】JANPIA 企画広報部 info@janpia.or.jp